https://deliverylab.hatenablog.com/entry/2026/06/08/175502

この記事はこんな方に読んでほしい
- Uber Eats・出前館・ロケットナウに加盟しているが「導入したのに売上が思ったように伸びない」と感じている飲食店オーナー
- デリバリーを始めてまだ間もなく、何をすれば注文数が増えるかがわからない方
- 近隣の競合店と同じプラットフォームに出ているのに、なぜか差がつく理由を知りたい方
- 配達員が実際に現場で何を感じ、何を見ているかをリアルな視点で知りたい方
- 「登録しただけで放置」になっていて、改善の糸口を探している方
目次
- 「登録したのに売上が出ない」の正体
- 伸びる店の共通点① メニュー写真が"デリバリー用"になっている
- 伸びる店の共通点② メニュー構成が「届いてから」を考えて設計されている
- 伸びる店の共通点③ 価格設計が「納得感」を生んでいる
- 伸びる店の共通点④ アルゴリズムを味方につけている
- 伸びない店のパターン① 「店内と同じメニューをそのまま出している」
- 伸びない店のパターン② 写真が暗い・小さい・食欲をそそらない
- 伸びない店のパターン③ 価格設定がズレている
- 伸びない店のパターン④ 営業時間・受付設定が最適化されていない
- 2026年に押さえるべき「Top Eats」と露出アルゴリズムの変化
- 配達員目線で気づいた「じわじわ伸びている店」の3つの習慣
- まとめ:デリバリーは「登録」がスタートラインではない
1. 「登録したのに売上が出ない」の正体
フードデリバリーを導入した飲食店の中で、導入後6ヶ月以内に「思ったより注文が来ない」と感じるオーナーは多い。実際に配達員として日々エリアを走っていると、アプリ上で「存在は確認できるが、なぜかほとんど鳴らない店」と「エリア内で安定して注文が入り続けている店」の差を肌で感じる場面が何度もある。
この差は、料理の味や店の知名度だけでは説明できない。
デリバリーは「飲食店がアプリに出店する」という形式をとっているが、その実態は**注文者がアプリ上でスクロールしながら店を選ぶ「ECサイト型の購買体験」**に近い。店頭での会話、内装の雰囲気、スタッフの笑顔——飲食店が長年磨いてきた「体験としての強み」が、デリバリーでは一切届かない。
届くのは「写真」「メニュー名」「価格」「評価スコア」「配達時間の目安」——この5つだけだ。
この5つで注文者の「頼もう」を引き出せているかどうかが、デリバリーの売上を決定的に分ける。そして配達員はこの「注文が多い店・少ない店」の違いを、稼働データと現場での体感から自然と把握している。
以下、「伸びる店」と「伸びない店」の差を、配達員の視点から正直に分析していく。
2. 伸びる店の共通点① メニュー写真が"デリバリー用"になっている
配達員として最も注文数の多い店に共通しているのが、アプリ上の写真の完成度が突出して高いことだ。
「美味しそう」というレベルではなく、「これを今すぐ頼みたい」と思わせる写真——それがデリバリーで売れ続けている店の第一条件だ。
デリバリー向け写真の3つの法則
① 真上または斜め45度から撮影している テーブルの真横から撮った横位置の写真は、店内の雰囲気を伝えるには向いているが、スマートフォンの縦スクロール画面では埋もれやすい。アプリのサムネイルに合わせた「上から見た構図」または「斜め45度の立体感のある構図」が、注文者の目を引きやすい。
② 背景が余計な情報を含まない 厨房の作業台が見えている、ビニール袋が写り込んでいる、照明が暗い——こういった写真は、料理そのものの印象を下げる。白や木目のシンプルな背景に料理を置き、自然光か柔らかい人工光で撮影した写真は、それだけで見栄えが2段階上がる。
③ 「実物より少し豪華に見える」が正解 デリバリーはどうしても「実物を見て選べない」制約がある。そのため注文者は写真を見て「これが届く」と期待して注文する。写真がショボいと注文数が減り、写真が過度に豪華すぎると「実物が貧しい」と評価を下げる。「少し盛る」程度のコントロールが、注文数と評価の両方を最適化する。
写真1枚の差がどれほど売上を変えるか
同じエリアで同じジャンルの料理を出している2店が並んでいるとき、配達員の体感として「注文数に2〜3倍の差がある」ケースがある。その差を生んでいる最大要因が写真であることが多い。料理の質や価格がほぼ同じでも、写真の完成度だけで注文数が大きく変わる——これがデリバリーの残酷な現実だ。
Uber Eatsはプロのカメラマンによる撮影サービスを提供している(2026年時点で1時間あたり13,000円・店舗メイン写真1枚+商品写真15枚まで)。この費用を「コスト」と見るか「投資」と見るかで、その後の売上が変わる。
3. 伸びる店の共通点② メニュー構成が「届いてから」を考えて設計されている
デリバリーで安定して売上を伸ばしている店は、「作りたてが一番美味しい料理」ではなく「届いても美味しい料理」をメインに据えるよう、メニューを整理している。
「デリバリー向き」の料理とは
配達員として日々運んでいる経験から、「届いてから食べても満足度が高い料理」には共通の特徴がある。
熱に強い・時間が経っても食感が変わりにくい料理 カレー・シチュー・煮物・唐揚げ・ハンバーグ・チャーハン・どんぶり系——これらは配達中の15〜30分で品質が大きく下がりにくい。注文者が「想定通りの美味しさ」を受け取りやすく、評価スコアが安定しやすい。
「揚げたて」「茹でたて」が命の料理は要注意 天ぷら・生パスタ・生麺系のラーメン——こういった料理は配達時間が長くなるほど品質が落ちる。出す場合は「配達距離を短めに設定する」「容器を工夫する」などの対策が必要だ。
「絞る」ことが売上を上げる
メニューを多く並べれば注文者の選択肢が増えると思いがちだが、デリバリーの実態は逆のケースが多い。メニューが多すぎると注文者が迷い、結果として「何も頼まずに他の店へ」という離脱が起きやすい。
注文が多い店を観察すると、「人気メニュー5〜8品に絞り込み、それぞれの写真・説明文を丁寧に作り込んでいる」パターンが目立つ。「迷わせない」メニュー構成が、注文のコンバージョン率を高める。
4. 伸びる店の共通点③ 価格設計が「納得感」を生んでいる
デリバリーで消費者が感じる最大の不満は「実店舗より価格が高い」ことだ。消費者調査では「フードデリバリーの不満」の第1位が「実店舗より価格が高い」で、81.3%がこの点を挙げている。
この現実を踏まえた上で、売上が伸びている店の価格設計には「納得感のある上乗せ」という共通点がある。
「手数料分の上乗せ」を正直にやっている店が強い
プラットフォームへの手数料(Uber Eatsは一般的に30〜35%程度)を考えると、店内と同一価格でデリバリーを出すと手数料分が純粋にコストになる。そこで「デリバリー価格=店頭価格×1.1〜1.2程度」に設定する店は多い。
この上乗せが「適正な範囲」に収まっており、かつ料理の見た目・量・品質が写真通りであれば、注文者はリピートする。「少し高いけど美味しかった、また頼もう」という体験が、デリバリーのリピーター獲得につながる。
「お得感を演出するセット」が注文単価を上げる
単品注文より「セット注文の方がお得」という価格設計は、注文単価を上げながら注文者の満足感も高める。メイン料理+サイド+ドリンクのセットを「単品の合計より10〜15%安く」設定することで、注文者が自然とセットを選ぶ構造を作れる。
注文単価が高い注文はプラットフォームの報酬体系上でも配達員の収入に影響するため、「高単価注文が多い店=配達員も積極的に受けたい店」という相乗効果も生まれる。
5. 伸びる店の共通点④ アルゴリズムを味方につけている
2026年のフードデリバリー市場における大きな変化の一つが、Uber Eatsの評価制度の刷新だ。従来の「Eats厳選」バッジに代わり、新たな評価制度「Top Eats」が導入され、評価基準が刷新されている。単なる評価スコアに加えて、準備時間の正確さやリピーター率なども重視されるようになっており、評価の高い店舗は露出が増え注文数が伸びやすくなる一方、基準を満たせない店舗は埋もれていく傾向が出てきている。
「Top Eats」で評価される要素
「Top Eats」認定を受けるためには、大きく以下の要素が関係していると考えられている。
評価スコアの維持 注文者からの評価(星の数)が一定以上であることは従来と同様だ。問題は「評価を下げる要因」を減らすことで、料理の品質・梱包の丁寧さ・配達速度のいずれかが崩れると評価スコアが下落しやすい。
準備時間の正確さ アプリ上で設定した準備時間と実際の準備時間のズレが小さいほど、アルゴリズムからの評価が上がる。これは「配達員の待ち時間」とも直結する問題だ。準備時間の設定と実態を一致させることが、アルゴリズム評価と配達員の印象の両方を改善する。
リピーター率 「同じ注文者が再び注文している」という指標が新たに加わったとされる。これはつまり、「一度注文した人が満足して戻ってくる店」が優遇される仕組みだ。1回限りのキャンペーン狙いの新規注文より、リピーターを育てることがアルゴリズム上でも有利に働く。
6. 伸びない店のパターン① 「店内と同じメニューをそのまま出している」
デリバリーの売上が伸び悩む店に最も多いパターンが、「店内営業で使っているメニューをそのままデリバリーに転用している」状態だ。
問題は料理の内容だけではない。「デリバリーで注文したときの体験」が、店内で食事するときとまったく違うという設計上の見落としが積み重なる。
起きがちなミス①:メニュー名が伝わらない 「シェフの気まぐれサラダ」「本日のスペシャルプレート」といった店内では通じるネーミングは、デリバリーでは何が来るかわからず注文されにくい。「チキンとアボカドのシーザーサラダ」のように、食材・調理法・ボリューム感が名前からわかるメニュー名に変えるだけで、注文率が上がるケースがある。
起きがちなミス②:説明文が空欄または店内メニュー流用 アプリのメニュー説明文は「注文者が最後に迷ったとき、背中を押す文章」として機能する。「当店自慢の一品」という漠然とした説明より、「広島県産レモンを使ったさっぱり系チキン。辛さは控えめで子どもも食べやすい味付けです」のように、具体的で食欲をそそる説明文がコンバージョンを上げる。
起きがちなミス③:デリバリー不向きな料理がメインになっている 揚げたてが命の料理、茹でたての麺料理などが看板メニューになっていると、配達時間の経過とともに品質が落ち、評価スコアを下げやすい。デリバリー用に「届いても美味しい看板メニュー」を設定することが有効だ。
7. 伸びない店のパターン② 写真が暗い・小さい・食欲をそそらない
「写真の重要性はわかっているが、スマホで撮ったのを使っている」という店が多い。問題は撮影機材よりも、光と構図と背景の選択にある。
「写真で損している店」の3パターン
パターンA:照明が暗く料理がくすんで見える 夜の厨房で蛍光灯の下に料理を置いて撮った写真は、どんなに美味しい料理でも魅力が半減する。スマートフォンのカメラでも、明るい場所・窓際の自然光・リングライトなどを使えば見た目は大きく変わる。
パターンB:料理がアプリのサムネイルサイズで識別できない スマートフォンでスクロールして見るアプリのサムネイルは小さい。引いた構図で器の全体を撮った写真は、サムネイルでは「何かが皿に乗っている」としか見えないことがある。料理のメインパーツがサムネイルでも見えるよう、寄り気味の構図で撮影することが基本だ。
パターンC:写真とアプリのメニュー名が一致していない 「唐揚げ定食」という名前なのに、写真には唐揚げが3個しか見えず、ご飯や副菜が写っていない——こういったケースでは注文者が「量が少ないのかも」と感じ、注文を躊躇する。定食・セット系は「構成要素がすべて写っている写真」が最も誤解を減らせる。
8. 伸びない店のパターン③ 価格設定がズレている
売上が伸びない店の価格設定には、大きく2種類のズレがある。
ズレ①:手数料分を上乗せしていない(利益が出ない)
プラットフォーム手数料を考慮せずに「店頭と同じ価格」でデリバリーに出している店は、実質的に注文が増えるほど利益が削れる構造になっている。持続可能なデリバリー運営のためには、手数料分を適切に価格に転嫁する必要がある。
ただし上乗せ幅が過大だと、冒頭の「価格が高い」という不満を直撃する。10〜20%程度の上乗せで収まるよう、コスト構造を見直すことが先決だ。
ズレ②:エリア相場から大きく外れている
同じエリア・同じジャンルの競合店より明らかに高い価格設定は、検索結果でのコンバージョンを下げる。注文者はアプリで複数の店を並べて比較できるため、「同じような料理で○○円高い」と判断されると選ばれにくい。
エリアの競合店の価格帯を定期的に確認し、「なぜ高いのか」が伝わる付加価値(食材の産地・ボリューム・特製ソース)を写真や説明文で明示する必要がある。
9. 伸びない店のパターン④ 営業時間・受付設定が最適化されていない
「登録はしているが、注文が来る時間帯に受付をオフにしている」という見えにくいロスが起きている店がある。
受付オフのタイミングがズレている店
ランチのピーク(11〜14時)やディナーのピーク(18〜21時)に、店内が忙しいからとデリバリーの受付を止めてしまうケースがある。皮肉なことに、この「デリバリーの需要が最も高い時間帯」に受付を止めることで、アルゴリズム上の稼働率評価が下がる可能性がある。
忙しい時間帯こそ注文が入る時間帯であり、受け付けられないのであれば「準備時間の延長」や「注文上限数の設定」で対応する方が、アルゴリズム評価への影響が小さい。
閉店・定休日の設定漏れ
「アプリ上では営業中になっているが実際は閉まっている」状態で配達員が到着するケースが稀に発生する。この「空振り」は配達員にとって最もストレスになる体験のひとつだ。こういった事案が重なると、その店への印象は大きく損なわれる。アプリ上の営業時間設定を実態に合わせて正確に管理することは、配達員への配慮でもあり、注文者体験の保護でもある。
10. 2026年に押さえるべき「Top Eats」と露出アルゴリズムの変化
2026年上半期、Uber EatsではEats厳選バッジに代わり新評価制度「Top Eats」が導入された。この変化は、デリバリーで売上を伸ばし続けるために知っておくべき重要なアップデートだ。
Top Eatsが変えた「露出の条件」
従来の「Eats厳選」は主に評価スコア(星の数)で認定されていた。「Top Eats」では、これに加えて準備時間の正確さとリピーター率が評価に加わったとされる。
この変化が意味することを整理すると——
「評価スコアを維持する」という従来の取り組みに加えて、「毎回の準備時間を安定させる」「一度注文した人にまた選んでもらえる品質を維持する」という、より継続的な努力が求められるようになった。
換言すれば、「新規顧客獲得」よりも「リピーター育成」が、2026年以降のデリバリー売上を左右するということだ。
Wolt撤退後の市場変化と加盟店への影響
2026年上半期最大のニュースはWoltの日本撤退であり、UberEatsを中心とした市場の再編が加速している。Woltに加盟していた飲食店が他プラットフォームへ移行したことで、Uber Eats・出前館・ロケットナウへの加盟店数が増加しており、同エリアでの競合密度が上がっている。
競合が増えた環境で売上を守るには、「アルゴリズムに選ばれ続けること」——つまりTop Eatsの評価基準を継続的にクリアすることが、以前にも増して重要になっている。
11. 配達員目線で気づいた「じわじわ伸びている店」の3つの習慣
1,000件超の配達経験の中で、「最初は注文が少なかったが、半年後には明らかに件数が増えていた」と実感できる店がいくつかある。そういった店に共通して見られた習慣をまとめる。
習慣① 季節・イベントに合わせてメニューをこまめに更新している
同じメニューを半年以上変えずに出し続けている店と、月ごとに「季節のおすすめ」「○○フェア」などを追加している店では、アプリ上での「新着感」と注文者の再訪率が変わる。Uber Eatsなどのプラットフォームは「新しいメニューが追加された店」を一時的にアルゴリズム上で優遇する動きがあるとされており、定期的な更新が露出増加につながる可能性がある。
習慣② 低評価レビューに真摯に対応している
アプリ上のレビューに対してオーナー側がコメントを返せる機能がある。「量が少なかった」「スープがこぼれていた」という低評価に対して「ご不便をおかけし申し訳ありませんでした。梱包を改善します」と丁寧に返信している店は、第三者(次の注文者)から見て「真剣に取り組んでいる店」と映る。
低評価への返信は評価スコアそのものを改善するわけではないが、スコアを見て躊躇している注文者の「背中を押す」効果がある。
習慣③ 複数プラットフォームへの同時出店で露出を広げている
フードデリバリー市場では今からの参入でも遅くなく、むしろチャンスが広がっているとされる。売上が伸びている店の多くは、Uber Eatsだけでなく出前館・ロケットナウにも並行して出店し、それぞれのプラットフォームの「強い時間帯・層」を使い分けている。
Uber Eatsは全体的な注文数で圧倒的だが、出前館はファミリー層・ロケットナウは手数料の低さを武器にしている。複数出店することで「どのアプリを使う注文者にも見つけてもらえる」状態を作ることが、安定した売上の基盤になる。
12. まとめ:デリバリーは「登録」がスタートラインではない
フードデリバリーで売上が伸びる店と伸びない店の差は、料理の味の差ではなく「デリバリーという販売チャネルを正しく設計できているかどうか」の差だ。
改めて整理すると、売上が伸びる店は以下を実行している。
- 写真:デリバリー用に光・構図・背景を整えた写真を使っている
- メニュー:「届いても美味しい」料理を厳選し、わかりやすい名前と説明文を付けている
- 価格:手数料分を適切に転嫁しつつ、注文者が「納得感」を持てる価格帯に収めている
- アルゴリズム:準備時間の正確さ・評価スコア・リピーター率を意識してTop Eatsを狙いにいっている
- 運用:季節メニューの更新・レビュー対応・複数プラットフォーム出店を継続している
一方で伸びない店は、これらのいずれかが「手が付けられていない」状態のままになっている。
配達員として1,000件超の注文を運んできた経験から言えることがある。「この店、また注文が多くなったな」と感じる瞬間は、決まって「何かが変わった後」だ。写真が新しくなっていたり、梱包が丁寧になっていたり、季節メニューが追加されていたり。その小さな変化の積み重ねが、半年後・1年後の売上の差になって現れる。
デリバリーは「登録して終わり」ではなく、「登録してからが本番」のビジネスだ。
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